太宰治の孫で津島佑子の娘 石原燃 さんが、芥川賞候補に選ばれています。
デビュー小説『赤い砂を蹴る』はどのようなお話なのでしょうか。
あらすじを簡単にまとめてみました。
芥川賞候補『赤い砂を蹴る』
石原燃「赤い砂を蹴る」は、『文學界』2020年6月号に掲載された、石原燃さんのデビュー小説です。
お母さん、聞こえる? 私は生きていくよ――幼くして死んだ弟、世間に抗い続けた母。ブラジルの大地に母娘のたましいの邂逅を描く。
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テーマは、ざっくり言うと、「家族」です。
物語のあらすじは、母子家庭で育ち母が死んでしまった四十代の女性・千夏と、千夏の母の友人であり夫と義母を亡くした女性・芽衣子が、芽衣子の故郷であるブラジルに向かうというお話です。
2人はまったく異なる境遇でありながらも、お互いにお互いの姿を重ね、芽衣子の故郷で「親子」や「夫婦」などの「家族」のあり方を考えていきます。
『赤い砂を蹴る』作者の石原燃の母は津島佑子
実際、石原燃さんは、ご自身のFacebookで、「母のことを書いた」とおっしゃています。
石原燃さんの母は、作家の津島佑子さんです。
津島佑子さんは、1歳のとき父を失い、母子家庭となりました。
12歳のとき3歳上の実兄が病没し母・姉と”女系家族”に育ちます。
1970年11月、結婚により財団法人放送番組センターを退社。
1972年5月、長女、石原燃(本名 津島香以(つしま かい)を出産。
後年夫とは不和となり離婚し、その後新たな私生活のパートナーとなる男性が現れますが、この男性とは再婚せず別離しています。
またこの男性との間に1976年8月、長男を出産しますが、長男は1985年3月に呼吸発作のため死去。この体験は後に『夜の光に追われて』『真昼へ』などの作品の主題となっています。
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このように、母である津島佑子さんは激動の人生を歩んで来られてきました。
また、津島佑子さんは、文豪太宰治の娘であったため、そのあたりをご自身と重ね合わせているのかなと思います。
候補者を紹介する方からすると、「今年の候補には〇〇な人がいます」的なことを書きたいらしく、母や祖父の名前が取りざたされています。母のことを書いた作品なので、母の名前を出されるのは仕方ないかなと思っていましたが、それ以上に祖父の名前が大きく出ていて、やっぱりそうなっちゃうか…と残念な気分です。まあ、しょうがないですけどね…。
母があれだけの作品を残しても言われ続けたことを、私にはね除けることができるのかわかりませんが、まあ、気にしないようにしていきたいと思います。
ー石原燃 Facebookより
お母様を思って執筆されたようですが、当然ながらご自身の経歴があまりにも有名な作家の孫・娘であるため、やはり葛藤もあるのですね。
芥川賞の先行決定は7月15日!
【芥川賞】候補は、
- 石原燃(48)「赤い砂を蹴る」(文學界6月号)
- 岡本学(47)「アウア・エイジ(Our Age)」(群像2月号)
- 高山羽根子(45)「首里の馬」(新潮3月号)
- 遠野遥(28)「破局」(文芸夏季号)
- 三木三奈(29)「アキちゃん」(文学界5月号)
の5名です。
先行の行方が気になりますね!
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